“膵がん”と聞くとギョッとしてしまう方は多いと思います。近年色々ながん腫で治療などが進化し、治療成績が伸びてくる中で、膵がんは未だに克服が難しいがんの一つと言えます。
なぜ膵がんが難しいかというと、いい状況で治療に望める方が少ないから、につきます。実は1cm未満で見つかった早期の膵がんの5年生存率は80%以上とされ、それほど悪い成績ではありません。しかし、この段階で見つかる患者さんはかなり稀で、もう少し大きな2cmまでの患者さんを含めても全体の5%に過ぎません。
胃カメラ・大腸カメラで見つけられる胃がんや大腸がんと違い、膵がんを健診で見つける決定的な検査がないのが現状です。膵臓はお腹の奥、胃の裏にあるため、腹部超音波検査でも全部を見ることができないことが多く、とは言え片っ端からCTやMRIを撮っていくのも現実的ではありません。
昨年、APOA2アイソフォームという膵がんに特異的な腫瘍マーカーが認可されました。これも完璧な検査というわけにはいきませんが、既存の腫瘍マーカーCA19-9と組み合わせることで早期膵がんを拾い上げる精度が上昇すると報告されています。この度、この腫瘍マーカーを健診オプションに追加することにいたしました。
膵がんに限らずがんの治療は早期発見・早期治療が第一です。気になった方は是非測定をご検討ください(CA19-9との同時測定をお勧めします)。
小林惇一(内科・消化器内科)